アナザーワールドの世界観で一年後設定みたいな……。そんな感じの二人です(不親切な説明)
携帯ショップにて
「…何か目当ての機種でもあるのか?」
「…いや? 全く。」
目の前に広がる新機種の棚に目をやりながら、二人は会話を続ける。
「ただ、新しいのが出たっていうから。…今のってブリタニアのデザインだからさ、なんていうか……無駄に凝ってて。」
使いにくくない?
スザクはそう言いながら隣に立つルルーシュに問いかける。視線は携帯に注がれたままだ。
「…まぁ、デザインが如何にもって感じだな。」
「うん、だから…慣れないっていうか。漸くシンプルなデザインのが出たっていうからさ、この機会に一緒に変えちゃおうよ?」
ね?と言いながら目に付いた機種を手に取る。隣でルルーシュもサンプルを手に取り裏返してみたりと視線は携帯に向けたまま。
互いに視線を合わせないままに会話を続ける。
「…あ、コレがイイ。」
そう言ったスザクが手に取ったものに、ルルーシュは漸く視線を向けた。
「…ブルー?」
「んーん、ヴァイオレット。」
表面はブルーのグラデーションだ。だがそれ以外の本体は綺麗な青紫色。
「発色、綺麗じゃない?」
コレにしようかな、と。操作も確認せずにスザクは呟く。
「ルルーシュは? 何か良いの見つかった?」
サンプルを手にしたまま、スザクも漸く隣のルルーシュに向き合う。
「いや…特に機能で気になるのがなくて。」
「じゃあ、形とか色とかで決めたら?」
「んん……」
色とりどりのサンプルを前に、ルルーシュは考え込むように顎に手を置いた。その途端、眼に入ってきた機種に手を伸ばす。
「…ソレ?」
「あぁ…グリーン?」
「…ブルーって書いてるよ?」
ルルーシュが手にしたのは、ブルーグリーン色の機種だった。
「あ、でもルルーシュ。コレGPS機能付いてない。」
そう言って、スザクはルルーシュの手からそのサンプルを奪い棚に戻してしまった。
「…おい、」
「だって、ルルーシュ居なくなる事あるから。居場所が判らないと不安だもの。」
だからコレは駄目、と言うスザクに、ルルーシュは不服そうな顔をする。
「俺の携帯だぞ?」
「うん、それでも駄目ぇ。」
エヘヘと笑うスザクに、ルルーシュは僅かに眉を顰めた。
「…その色が良いんだ。」
ハァ、とため息交じりに言えば、スザクは嬉しそうに笑う。
「うん、僕の瞳の色だね。」
ニッコリと言われて、ルルーシュは顔を赤く染めた。
「っっ、おまっ!!」
「僕のもルルーシュの瞳の色だもの。でも、コレは機能が足りないから駄目。」
ニコニコと笑いながら言われて、ルルーシュは考えを見透かされたのが恥ずかしいのか、それとも同じ事を考えていたのが悔しいのか、口を噤む。そんな様子も気にせずに、スザクは棚に視線を戻した。
「ねえ、コレは?」
そう言って指差したのは、スザクが手に取った機種の隣に置いてあるサンプルだ。
「コッチと同じシリーズみたいだけど、デザインが違うから。お揃いって事にもならないし。ね?」
何が、ね?なんだろうと思いつつも、ルルーシュは指し示された機種を見つめた。確かにデザイン的にもシンプルで薄型なのが気に入ったかもしれない。
「…そうだ、な…。」
そういいながら、四色ある色の中から黒を手に取ろうとした時。
スイとスザクの指が伸びて、ルルーシュの手を止める。
「コレが良くない?」
スザクが指差したのは、ゴールド色だった。
「そんなに派手なゴールドじゃないし…、パープルのラインが入ってる。」
スザクを見れば、屈んでいる所為か頭部が僅かにルルーシュよりも下に向いていて。くるくる跳ねている髪の毛が視界に広がる。伏目がちな瞳を縁取る睫毛が思ったよりも長いんだよな、とボンヤリとルルーシュは眺めて、スザクの声に耳を澄ます。
「ルルーシュのイメージ、だね。」
ニコニコと人好きのする笑顔が向けられる。今日この店に来てからずっと、スザクは上機嫌だ。
「ね、コレにしなよルルーシュ。」
その機嫌の良い笑顔が終始向けられている。どんな意図があろうとも、そこに浮かぶ笑顔に負けてしまうと、ルルーシュはスザクに甘い自分を十分理解していた。
「…全部お前が決めてるじゃないか。」
「でも良いでしょ?」
嬉しそうに首を傾げるスザクに、ルルーシュはジトリと視線を投げる。
良いから反論しないんじゃないか!!
ルルーシュの心の声は口には出ること無く終った。
「あぁ、鈴付けだよ。」
飼い猫には必要だよね?
涼しい顔で事の理由を同僚に告げたスザクの表情は、いっそ晴れやかで清々しかった。
(同僚、ジノ・ヴァインベルグ談)
たまには普通のスザルルを書いてみたかったんです。
あの世界の携帯は無駄にデザインが凝り過ぎてて使いにくいと思うんですヨ。
ちなみに、携帯はキノコファミリィの所。
自分の機種変でパンフ見てて思いつきました。
色でとるか、デザインで取るかが問題なんですよ。
2008/07/23